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のったりのたりと

V6の坂本さんを中心に、アイドルさんたちを

ONE MAN STANDING Ⅲ

ミュージカル 坂本昌行

ピアノと共に過去の旅へ

 

「このコンサートを開くにあたって、これまでのミュージカル人生というものを軽く振り返ってみました」という坂本さん。トークと歌で、昔の舞台と当時の思い出をたどっていきます。

全体的にピアノの音が先に流れ出して、それに導かれるように坂本さんの思い出語りが始まり、ワンフレーズかツーフレーズくらい歌うという構成。

 

「タイトル不明」(阿国より)

坂本さんのミュージカル初舞台となった作品です。

「右も左も上も下も前後も解らない状態で、小僧がプロの稽古場で何が出来るかって、何もできない」そこにいるだけだったと力のなかった自分を語る坂本さん。

♪「ほんとのこと言~え~ば~ 辛くて泣きそうな~の~ 毎日毎日ひもじくて~ お腹がぐう~っとな~る~の~」

舞台で歌ったという一節を歌ってくれました。

 

ミディアムテンポでメロディは歌詞ほど暗くはないけれど、なんだかぐさっと心に残った歌でした。

実際に舞台で歌ったとおりの歌詞だそうですが、その歌詞がその当時の坂本さん自身を歌われているような歌詞だと感じたそうです。

お金もなくてアルバイトをしたりしながらのジュニア時代、実際にひもじい訳ではなかったでしょうが(実家暮らしだし)、気持ち的には先が見えないなかで過ごす毎日の閉塞感が、歌詞にリンクするのでしょう。「でも阿国の稽古場にはずっと車で通ってました」とオチを付ける坂本さんなのでした。辛いことは、笑い話に変えちゃうんだな。

 

この頃はまだオタではなかった私、当然この作品を見ていないのですが、前にBSでダイジェストで放送されたものは見ていました。坂本さんは脇役ですから、そんなに映っていなかったのですが、主役の木の実ナナさんの演じた阿国が個性的で面白かった印象です。

阿国を題材にしたミュージカルはまったく別の脚本で作られたものもありますが、坂本さんが参加されたこの作品は、阿国をあえてきれいに描かないところが印象的でした。歌舞伎の祖というよりも、あくまで河原者として、当時の社会の下層でたくましく生きぬくエネルギッシュな女を描いた作品です。

 

やさしさに包まれたなら」(魔女の宅急便より)

ピアノの音をバックに、ここはトークだけ。

この作品で坂本さんが演じたのはトンボですね。デビュー一年前に出たミュージカル魔女の宅急便。テレビでしていたダブルキャストのお話はこれかな。プレゾンでもダブルキャストだった作品はあるけど、たぶんこっちだろうな。

ユーミンさんに会えるんだ、ユーミンさんが作った曲が歌えるんだ、とわくわくして顔合わせに行きました」という坂本さん。

「稽古場のドアを開けました!居ましたっ!蜷川さんが‥‥」蜷川さんがオチで良いのかな?

「それから稽古期間、蜷川さんとの大切な時間の中に、たくさんの言葉をいただきました。ということで、そのなかの一つをご紹介します。「馬鹿、死ね、帰れ」人生であんまり言われることはない言葉ですね」としみじみする坂本さん。ここまで言われたのは蜷川さんだけだそうで。でもそんなお言葉が大きな糧となって今ここに立てているのではないかというようにお話されていました。

今はご病気で入院されている蜷川さんが、早く復帰されますように願っていますとそえていらっしゃいました。

 

「Sixteen Going On Seventeen」(Sound Of Musicより)

「実はデビューする前にもブロードウェイミュージカルにださせていただきました。それがサウンドオブミュージック。役は17歳の郵便配達員の役。V6がデビューしたころ、だいたい16、7、というと森田くん。剛がそれくらいということで、その時の気持ちを歌いたいと思います」とその気持ちを坂本さん、替え歌で一曲。

 ♪「おまえはシックスティーン もうすぐセブンティーン 言うこと聞けよっ」

 

ええと、この作品は当時は東宝で定期的に再演されていた印象ですね。大地真央さんの主演時代。坂本さんの役はトラップ一家の長女の恋人役。この曲はとても可愛らしい初々しいカップルの逢引きシーンで歌われる曲なのです。当たり前ですが反抗期を歌った歌ではありません。

彼氏がちょっと背伸びした感じで年下の彼女に歌うとっても可愛らしい曲です。そのまま歌うのは恥ずかしかったかな。

 

今回は替え歌で、V6さんの始まりのころの剛くんとの微妙な関係を表してみたようです。坂本さんが自分の歴史を振り返るという意味合いかな。

坂本さん「言うこと聞けよっ」が秀逸。怒鳴る感じではなく、いらだちを噛みしめるように歌ってました。当時の心境をおしはかってしまいます。

「自分でもなんでこっちの手を握っているのか解らない。何か思いがあったんでしょうね」と言いながら、マイクを持っていない方の手で、ズボンのお尻の方をぎゅっと掴んでいました。

大変だったんですね、きっと。でもそれも笑い話に変えて、剛くんの映画、「ヒメアノール」が5月公開とお知らせ。いまいち反応が薄い会場に、「興味ない?」と心配しながら「ぜひ皆さんご覧ください」と宣伝をするリーダーさんなのでした。

 

シェルブールの雨傘・主題歌」(シェルブールの雨傘より)

タイトルこれで良いのかな?とにかくシェルブールと言えばこれという、一番有名なフレーズを替え歌で。

♪「初め~ての主役だぁ~た とにか~く台詞がぜ~んぶ 歌だ~け~のミュージカルだったのに~ この歌しか覚え~ていない~」

せつない歌声です、歌詞はともかく。客席から笑いと最後に拍手。

 

舞台では、ヒロインが坂本さんの演じるギイに、「モナムール モナムール行かないで」と歌う歌です。戦争に行かないでとすがるヒロインの歌に重ねて、ギイは「ジュテーム ジュテーム」と歌っていました。

 全編歌のミュージカルということで、坂本さんはとても難しかったと良く語っておられますが、個人的にはそれがとても良かったと感じた作品でした。坂本さん、お歌の方が台詞より言葉がクリアーな気がするんですよね。初演の時のういういしいギイ、大好きだったなぁ。(また話が逸れた、失礼)

 

「主演しました、初主演、これ有名な曲ですよね。これしか覚えてないって、これぼく歌ってないんです。ぼくが歌ったのもちゃんと覚えています」ということで気を取り直して、

♪「ワイン、もう一杯」

 

舞台では足を痛めて戦地から戻ったギイが、恋人の心変わりを知って酒と女におぼれるというシリアスなシーンなんですけど、会場のお客さんたちは思わず笑ってしまう。

 

当時、イノッチくんがさんざんネタにして良くマネしていたので、V6さんのオタ内で有名なネタ化しているのですよね。坂本さんのオタ内では「来たんだ、召集令状が」がはやりましたね。コンサートや舞台のお知らせが来るとこのフレーズをつぶやくという。

ちょこちょこ笑いが起きる会場に、「このへんは爆笑を求めていないのでさらっと聞いていただければいいです」という坂本さん、さくっと次に進む。

 

「My Best Friend」(BLOOD BROTHERSより)

 「それから数々のミュージカルに出演させていただいて‥‥」坂本さんが主演した作品のタイトルを一つ一つ並べて行きます。「素数々の敵な作品との出合いました。最高のスタッフ、最高の仲間、キャスト、そして何人か友達、ベストフレンドと呼べる仲間もできました」ということで次の歌。

♪「マイベストフレンド いろんな話 舞台のこと たくさん知りたい~ 俺もなりたい 舞台のまんなか 輝くミュージカルスタ~に~」

 

うーん歌詞が思い出せない。歌終わりに「なれましたかね?」と、ちょっと格好つけて聞いちゃう坂本さん。お客さんは拍手で応えますが、「すいません。あざといフリでした」とあやまっちゃってました。格好つけっぱなしは、恥ずかしいのかな。

 

これも舞台で歌った時とは歌詞が違います。「マイベストフレンド~」の歌いだしは同じだったかな。坂本さんの演じたミッキーと双子のエディ、別々に育てられた双子が出会う子供時代のシーンで歌われた歌ですね。ちびっ子時代、可愛かった。

ブロードウェイ物が多い坂本さんですが、ブラッドブラザーズはウエストエンド物。そしてイギリスが舞台の社会性の強いミュージカル、とても重たい作品ですよね。バックボーンを入れておかないと日本人的にはその結末に共感するのが難しいかなと思ってしまう、受け取る方も気持ちの持って行き方が難しい作品でした。

演じる方も準備が必要な作品だったのでしょうね。坂本さんが2泊4日の強行日程でウエストエンドに行ったというエピソードも当時、印象的でした。しかし、脚本と台詞の無駄のなさは秀逸な作品です。

 

そしてこのコーナーもそろそろ終わり。

「今日もたくさんの仲間と、皆さんに喜んでいただけるようにがんばっていきますので、どうぞよろしくお願いします」と綺麗に締め。

 

「Hope」(Zorro The Musicalより)

最後はこの曲。ピアノの音に乗せてゆっくりとした歌いだし。

途中からテンポが上がって、ピアノ一本だった演奏にバンドが加わっていき迫力の演奏へ。

坂本さんの歌も、語るようなものから、本格的な歌唱へ。ボルテージが上がっていき、客席も空気が変わります。トークの時間は終わり、自然と歌の世界に引き込まれて行きます。

 

舞台ではゾロの中で唯一と言っていい、ディエゴのソロナンバーでしたね。捉えられて地下に入れられたディエゴが、それでも希望を失わないと歌う決意の歌です。

坂本さんのミュージカルでは一番の長丁場だった作品。運動量の多い舞台でもあったので、相当体重も増量してのぞんでいた坂本さんも、終盤では身体が薄くなっていきました。歌い上げ系という感じのこの曲を歌うのも大変そうで、観劇した時々で、歌い方を変えたりもしていた印象です。

 

舞台で聞いた時には、苦しみの中の「Hope」、この場所では希望を前面に打ち出した「Hope」だと感じました。歌詞も変更されています。

声が出るところまで、限界をふりきるように思い切って歌いあげているような歌、こんな歌い方は普段は聞けない。そしてその声音の明るい伸びやかさは、やはりディエゴではなく坂本さんのものだと感じました。

 

♪「もうこれで おしまいだと 何度も思った 絶望の暗闇を さまよっていた でもいつかきっと 俺は必ず 見つけられると信じた 一人じゃない かすかな光 それはHope 明日への希望

歌い続けろ 踊り続けろ 見えなくても この心に刻みこんで 信じ続けよう

信じていよう 見つけてみよう そして生きて行こう いつかあの空を 追い いつか」

 

歌詞はなんとなく覚えている部分だけのニュアンスです。フルで歌ってくれたので、もっと長かったですが覚えてられない。(残念)最後は一音一音、区切るように力強く歌いきってステージは暗転。